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2018-01-26

◆犬神様を考える 第5回  ~昔話 犬頭糸~

大蛇と犬の昔話と、もう一つ気になった昔話がある。「犬頭糸」と呼ばれる昔話だ。

こちらは豊川市にある古社「犬頭神社」に残る、ちょっと変わった昔話だ。

豊川市 犬頭神社1


◎千両の犬頭糸

ずっとむかし、千両の村に役人がいました。
役人には、それはそれは働き者の綺麗なお嫁さんがいた。


ある日、朝早く、お嫁さんは、いつものように蚕に桑をやりに行きました。ところがどうしたことか、蚕は全部死んでいました。


「これは たいへんだ。 どうしましょう。」


お嫁さんはびっくりして、役人の所へ飛んで行きました。


「なに、蚕が死んだ? おまえは良く働くと評判だが、それをよいことに、陰ではなまけていたのだろう。」


役人は大変怒り、家から出て行ってしまいました。 お嫁さんは一人ぼっちになり、毎日悲しんでいました。 


飼っていた犬も、元気がなくなっていきました。


3年目の夏の日。 お嫁さんは、朝早く、裏の畑でぼんやりと桑の木を眺めていました。 


すると、「バリバリ! バリバリ!」 という音が聞こえてきました。


「おや、何かしら。」


お嫁さんが近付いてみると、1匹の大きな蚕が桑を食べているのでした。 喜んだお嫁さんは、その蚕を大事に大事に育てました。
 

ところが、ある日のこと。驚いたことに、お嫁さんが大事にしていた蚕を、犬が食べてしまったのです。
 

「ああ!蚕一匹飼うこともできないなんて。」


お嫁さんは、あまりの情けなさに泣き出してしまいました。 犬は何も知らず、ただ鼻を クン クン ならしているだけです。


お嫁さんは、そんな犬を見ても、やさしく頭をなでてやりました。


するとどうしたことか、犬の鼻から細い白い糸が2本垂れ下っているではありませんか。 お嫁さんは思わず糸を引っ張りました。 


糸は次から次へと出てきます。 300ほど枠に巻き付けても、まだ出てきます。 竹の竿や桶にまでも巻き付けました。やがて、犬はカ尽きたように死んでしまいました。


「きっと仏さまが助けてくださったにちがいない」


お嫁さんは、桑の木の根元に、犬を丁寧に埋めてやりました。


幾日か過ぎ、お嫁さんの所へ立ち寄った役人は、雪のように白い糸を見てびっくりしました。
 

「こ、これは どうしたことじゃ。」 


お嫁さんはありのままを話しました。
 

「そうだったのか。 仏様がおまえをお守りくださっていたのだ。 放っておいた私が悪かった」


それからというもの、二人はまた幸せに暮らすようになり、家も豊になっていきました。


その後、千両の辺りで作られた糸を、「犬頭の糸」とよぴ、天皇に差し上げるようになりました。千両の犬頭神社は、犬を埋めた桑の木のあった所に、建てられた云うことです。







・・・と言うものだ。


この話もまた奇妙な昔話である。引用元は地元の昔話集からだが、この話の元は今昔物語にあるようだ。


豊川市の犬頭神社の創建は詳しくは分からないが、600年代に建てられたという説もある。式内社であるので、平安時代(927年)には既に存在していた神社であるから相当古い神社だ。御祀神は保食神(うけもちのかみ)と糸繰姫神だが、古くから犬頭大明神と呼ばれていたと云う。


「千両の犬頭糸」の昔話を読んで気になった点を挙げてみるとこうなった。

①こっちの話には男と女が現れる。

②やはり犬は死ぬ。

③大蛇は出て来ないが、蚕は犬に食われて死ぬ。

④犬の体から絹糸が出るとうことは、死んだ蚕が復活したともとれる

⑤天皇へ献上できるほどの美しい絹糸がこの地域で作られていた。



大蛇と犬の話は伝承通りだと天正年間(戦国時代)の話だが、こっちの話は今昔物語に載っている位だから平安末期には既にあった話だ。時代の隔たりは数百年あるが、これ元になった話は同じで神社創建まで遡りそうな感じがする。


豊川市 犬頭神社2

そして岡崎市の「糟目犬頭神社」と豊川市の「犬頭神社」はどちらも「犬頭大明神」と云われていたので、やはりこちらの神社も同じ時代、同じ神が元々祀られていたように思う。


次回はこの犬頭糸に関連するもう一つの神社について考えたいと思います。


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プロフィール

紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾

Author:紅葉屋呉服店:店主 加藤大幾
名古屋市内で呉服中心で古美術も扱っているお店をやっています。

主に趣味のお寺と神社の参拝を中心としたブログです。

◆紅葉屋呉服店
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